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旧優生保護法による強利不妊手術に対する声明文
全国手をつなぐ育成会連合会会長 久保厚子 |
旧優生保護法による強制不妊手術に対する声明文
旧優生保護法に基づいた施策によって、1948年から96年までの間、数多くの知的障害をはじめとして障害のある人が不妊手術を強制されました。報道によると、1万6475もの人が自らの意に反して、あるいは十分lご意思を確認されないまま、不妊手術を強いられたのです。対象者のなかには10歳にも満たない子どももいました。障害のある人の尊厳を大きく傷つけてきた不妊手術に対し、国はその過ちを認め、全容の解明とすべての対象者への謝罪・補償を行うべきと考えます。
一つの命としてこの世に生まれ、さまざまな困難|こ直面しながらも誰かを愛し、家族をつくり、時間を共有しながら人生を全うしていくことは、誰にも認められるべき生き方です。そこに、障害の有無など関係ありません。しかしながらこの旧優生保蓮法に基づく施策は、「不良な子孫を残さない」といった、あたかも”全体の利益”あるいは”善意”であるかのように装われた倫理のもと推し進められました。さらに、生理の世話ができないなどの理由から“支援提供の条件”として事実上手術を強要されたこともあったと聞きます。
知的障害のある人の権利や尊厳が、こうした”周囲の都合”によっていとも簡単に奪われてしまうことを、私たちは知っています。「知的に障害がある」というだけで、誰かを愛し、子どもを生み育てることを否定されてきた多くの人がいたことをいまいちど社会全体で受け止め、その情景にある障害のある人の命や主体性を軽視する価値観について問うてほしいと思います。
一方で、この問題は私たち知的障害のある人の家族にとっても大きな課題を突きつけていると考えます。不妊手術の強制は以前から問題視されていました。でありながら、私たち自身もこの問題に向き合ってきたとは言えません。地域で暮らしていくための福祉サービスも未整備で、偏見や差別も根強い時代の中で、周囲や専門家から手術を勧められ、首を縦に振った家族も少なくなかったはずです。そうした実態はある意味タブー視され、私たちの間でも共有されることはありませんでした。私たち自身も、過去に育成会がこの施策あるいは旧優生保護法にどのように関わってきたのかを含め、実態を把握するとともに、家族としていまできること、すべきことは何か議論していく必要があります。
意思も確認されず、理不尽にも手術を強制された多くの人たち。その無念さ、恐怖、悲しさは計り知れません。尊厳を踏みにじられた一人ひとりの人間がいることを忘れてはなりません。不妊手術の強制に象徴される、障書のある人の命を軽んじる価値観にどう向き合うかは、誰にとっても他人事ではないはずです。
平成30年4月18日
全国手をつなぐ育成会連合会会長 久保厚子
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